新しい年に

けんげきで働く人

2025年が始まりました。

当劇場が長いお休みに入ったのは、2023年8月。

それからおよそ1年半、工事のため建物を覆っていたシートもようやく外され、今年2月からは練習室の使用が再開されます。そして4月、3つのホールも再開され、全面的に再オープンします。

今回の工事は天井の耐震性を高め、外壁を補修し、舞台関係設備などを更新するというものです。見た目が大きく変わるわけではありませんが、今後安心して劇場を楽しみ利用してもらうためのオーバーホールです。

 

再開館を前にあることに思いを馳せました。

遠い昔のように感じますが、5年前。穏やかに始まったと思われた2020年は、新型コロナというウイルスに翻弄されることになりました。世界中で、人々の生活や経済などが激変し、かつてない事態に直面しました。エンターテインメント、芸術文化も、イベントや公演、上映などが次々に中止に追い込まれました。

そんな中でも、多くのアーティストは、自分の部屋から、そして無観客の会場から、配信や放送などを通じて発信を続けました。飛沫の飛散状況を詳細に調べて距離を取りながら行ったコンサートや、フェイスシールドをつけた公演などもありました。当時、そうした場に立ち合った時、「伝えたい、届けたい、繋がりたい」という力を、強く感じさせられました。

 

あれから5年。

アーティストが表現し発するものを、気持ちや息遣いも含めて以前のように感じ、同じ場所で共有できる日々がほぼ戻ってきました。

ともすれば忘れてしまいそうなあの日々にも時折思いを馳せながら、エンターテインメントや芸術文化の持つ力を楽しんでいただきたいと思います。

再開館まであと3か月。気持ちを新たに準備を進めていきます。

この記事を書いた人

松坂千尋(まつざか ちひろ)
1957年宮崎県延岡市生まれ。小学校から高校まで、宮崎市、日南市、東郷町(現日向市)在住。
宮崎南高、東大卒。記者としてNHKに入局し、ニュース7NW9編集責任者、社会部長、編成、広報、経営企画、専務理事などをつとめ2023年4月退職。
2024年6月末から宮崎県立芸術劇場の理事長兼館長。

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