アンティゴネの父オイディプス
生涯で123作品も書いたソフォクレス!
『アンティゴネ』を書いたのは、古代ギリシャ時代の三大悲劇詩人の一人であるソフォクレス。約2,500年も前の、紀元前5世紀の時代を生き、生涯で123もの作品を書いたと言われていますが、現代に残っているのはたったの7作品。そのうちの一つ『アンティゴネ』は、後に書かれた『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』とあわせてテーバイ三部作とされています。(物語の時系列は『オイディプス王』→『コロノスのオイディプス』→『アンティゴネ』の順)
*テーバイ・・・古代ギリシャの都市国家のひとつ
アンティゴネの父オイディプス
『アンティゴネ』のあらすじをご紹介したいところですが、父であるオイディプスのお話が欠かせません……!『アンティゴネ』には登場しないのですが、セリフの中にオイディプスにまつわる話が出てくるので、知っておくとより楽しめます!
オイディプスという名前、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どんな人物かというと、とても不遇な人でして……話はその父ライオスから始まります。
生まれてすぐハードモードのオイディプス
ある時、テーバイの王様ライオスは「子どもをつくってはならない。子どもをつくれば、その子に殺されてしまうだろう」と神さまからお告げを受けます。
(このライオス、とんでもない人で、とある若者から呪いを受けており、上述のような神さまからのお告げが……)
しかし、お酒を飲んだ際に妻のイオカステと交わり、子どもをつくってしまいます。
お告げを恐れたライオスは、その子どもを山に置き去りにしてくるよう従者に命令するのですが、従者は子どもをかわいそうに思い、山にいた羊飼いに子どもを預けます。
その頃、子宝に恵まれずに困っていたコリントス(都市国家のひとつ)の王。
その元に羊飼いがやってきて、子どもを王に渡します。
そして名付けられた子どもが、オイディプスだったのです。
(オイディプスの踵が腫れていたので、“オイディプス(=腫れた足)”と名付けられたそう。)
勘違いして旅に出るオイディプス
成長したオイディプスはある時、コリントスの王の実子ではないことを周囲から言われてしまいます。
不安にかられたオイディプスは神さまに真実を聞こうとしますが、「故郷に寄るな、両親を殺すだろう」とまたもや恐ろしいお告げを受け、旅に出ます。
(ここで、神さまはテーバイのことを言っていたのですが、オイディプスはコリントスと勘違いしてしまったんですね……。)
旅の途中、前方からやってくる旅の一行に道を譲るよう言われ、その挙句オイディプスの馬が殺されてしまいます。それに激昂したオイディプスは旅の一行を殺害しました。
その中に、実の父であるライオスがいるとは知らずに……。
スフィンクスとオイディプス
ライオス亡き後、ライオスの妻イオカステの弟であるクレオン(『アンティゴネ』にも出てきます!)がテーバイを治めます。
テーバイに行き着いたオイディプス。その頃、テーバイは怪物スフィンクスに悩まされていました。スフィンクスの出す謎に答えられず命を落とす人が続出し、クレオンは「スフィンクスの謎に答えた者にテーバイの街とイオカステを与える」というお触れを出しました。
スフィンクスの謎というのは、有名な謎かけなのでご存知の方もいるかもしれませんが、
「朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何か。
その生き物は全ての生き物の中で最も姿を変える。」
というもの。オイディプスはこれに「人間である」と見事に答え、スフィンクスをやっつけます。
徐々に明かされる真実に思わず……
そしてオイディプスはテーバイの王となり、実の母と知らずにイオカステを妻に迎えます。
しかし、テーバイは不作と疫病に見舞われ、クレオンが神さまにお告げを求めたところ「先王ライオス殺害の穢れが不幸を招いている。犯人をテーバイから追放すべし」とのこと。犯人探しを進めると、次第にライオスを殺したのが自分であると知ったオイディプス。そして、自分がライオスの子であること、イオカステが母であること、お告げ通りになっていることを知ったオイディプスは、イオカステの身につけていたブローチで目を刺し、テーバイから出ていくことに……。
ソフォクレスの『オイディプス王』ではオイディプスが王となりテーバイから出ていくところまで、そして『コロノスのオイディプス』ではその後が書かれています。
さて、『アンティゴネ』のあらすじはというと、、、
長くなったので今日はここまでで失礼します!
この記事を書いた人
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