『夏の砂の上』
- 2022年12月04日(日)
- 演劇ホール
- 開場 13:30/開演 14:00/終演予定 16:00
長崎を舞台に、職をなくし妻に家出された主人公と彼を取り巻く人物たちの間で交わされる会話から、一見淡々とした日々に漂う、抗いようのない悲哀や心の乾きが滲みだす本作。
自身の生まれ育った長崎を舞台に描き、1999年読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した劇作家・松田正隆の代表作のひとつ『夏の砂の上』を、現代日本演劇界を代表する演出家・栗山民也の演出でお届けします。
主人公・小浦治を演じるのは、数多くのTVドラマや映画、舞台に出演する田中圭。夫を捨て家を出ていく妻・恵子を演じるのは、舞台や映像作品で唯一無二の存在感を発揮する西田尚美。若手実力派として映像作品に多く出演する山田杏奈は、本作品が初の舞台出演となります。
さらに、新時代のバイプレイヤーとして注目される尾上寛之、2020年に第55回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した実力派の松岡依都美、また舞台を中心に活躍し演出家が信頼を寄せる粕谷吉洋、深谷美歩、三村和敬と、豊富な舞台経験を持つ実力派俳優が揃いました。
積み重ねられる会話からあぶり出される登場人物たちの繊細な心模様を、栗山民也と実力派俳優陣が現代に描き出します。
どうぞご期待ください。
<あらすじ>
ある地方都市、坂のある街。
坂にへばりつく家々は、港を臨む。
港には錆びついた造船所。
夏の日。
造船所の職を失い、妻・恵子に捨てられた小浦治のもとに、家を出た恵子が現れる。恵子は4歳で亡くなった息子の位牌を引き取りに訪れたのだが、治は薄々、元同僚と恵子の関係に気づいていた。
その時、治の妹・阿佐子が16歳の娘・優子と共に東京からやってくる。阿佐子は借金返済のため福岡でスナックを開くと言い、治に優子を押しつけるように預けて出て行ってしまう。
治と優子の同居生活が始まる。
キャスト/スタッフ
出演者
田中圭
西田尚美
山田杏奈
尾上寛之
松岡依都美
粕谷吉洋
深谷美歩
三村和敬
■スタッフ
作 松田正隆
演出 栗山民也
美術:二村周作 照明:服部 基 音楽:国広和毅 音響:井上正弘
衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 方言指導:柄澤りつ子
演出助手:須藤黄英 舞台監督:田中直明
宣伝美術:相澤千晶 宣伝写真:若木信吾
宣伝スタイリスト:髙木阿友子 宣伝ヘアメイク:YOSHi.T
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◆演出・栗山民也 コメント
近頃、歳のせいか、静かにゆっくりと動くドラマに惹かれる。稽古の後半には、それまで積み重ねてきた飾りものを削ぎ落とし、最後に残された風景と言葉だけを見つめているような気がする。
世田谷パブリックシアターから新しい演出依頼があった。いつもより少し長い間、上演作品を考えた。こういう時が実は一番幸せな時間で、自分の今までをじっくりと思い返すことができる。そんな時、松田正隆のセリフがちぎれちぎれに聞こえてきた。風に揺れていたり、突然ピタリと止んだ乾いた沈黙のときだったり。
この『夏の砂の上』の風景の中を流れるジリジリとした熱い感情と、しかし静かに刻む時間の一刻一刻に身を任せ、この荒涼とした現在から、そこにその時生活していた人たちを見つめてみたい。
◆作・松田正隆 コメント
「夏の砂の上」という戯曲を書いたのは、ずいぶん昔のことで、平田オリザさんから依頼があって、この戯曲は青山円形劇場で上演されました。1998年のことです。
思い出すのは、この戯曲を書くにあたって、まだ、プロットも固まっていない時に、さんざん夏の長崎を歩き回ったことです。汗をかいて坂をのぼりくだりしているうちに、次第に劇の輪郭が生まれてくるような気がしました。故郷の長崎を遠くから想像してつくるようなドラマではなく、石段に身体がへばりつく感覚でセリフを書いた覚えがあります。渇水の町で洪水にのまれ、閃光に焼かれるイメージを得られたのは、長崎をただひたすらに歩いた経験がもたらしたものでした。
カラダが立ち、歩く、座るという姿勢から、うつ伏せ、横たわり、挙句に蒸発し影となり流されるということ。生命の水準についての劇は時代の重力に従順になるほど、露わになります。私は、「日常」の劇から「生と死」に直面する劇へと変容するような戯曲を書きたかったのかもしれません。
それでも、おそらくは「作者の思い」などこえて上演されるのが演劇の面白さでしょう。上演を拝見するのがとても楽しみです。
◆田中圭 コメント
2019年の『CHIMERICA チャイメリカ』以来、栗山さんのもとで演劇ができる2度目のチャンスをいただき、とても嬉しいです。松田さんの深みを持つこの作品をどこまで掘り下げていけるか、栗山さんの演出でどんな舞台になっていくのか、僕自身がどう体感していくのか…とても楽しみにしています。皆様にもぜひ一緒にこの作品の深さやその奥にうごめくものを感じていただければと思っています。劇場でお待ちしております。
◆西田尚美 コメント
何度も拝見してきた栗山さんの演出を受けるのは今回が初めてで、世田谷パブリックシアターの舞台に立たせていただくのも初めてです。どんな風景が見えるのだろう、ぜひ挑戦したいと思いました。松田さんの『夏の砂の上』はとても素晴らしい戯曲なので、共演の皆様とともに長崎の湿度を感じるような舞台を築いていけたらいいなと思っています。ぜひ皆様にも舞台の私たちと同じ空気をじっとりと感じていただければと思っています。
◆山田杏奈 コメント
初めての舞台出演で、出演が決まってからずっと、頭のどこかに「舞台」への緊張感があります。目の前で観てくださるお客様がいる舞台ってどんなものだろうとワクワクもしています。これまでの数少ない経験や価値観を、一度捨てられるような勇気を持って、新しくお芝居を始めるような気持ちで挑みたいと思っています。栗山さんのご指導と、舞台経験豊富な共演者の皆様に精一杯ついていけるよう、まっさらにして臨みたいと思います。
チケット料金
<全席指定>
S席 7,000円(6,300円)
A席 5,000円(4,500円)
B席 4,000円(3,600円)
U25割 全席種半額[鑑賞時25歳以下]
※全席完売いたしました
※( )内はくれっしぇんど俱楽部会員価格
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※車椅子席・介助席はメディキット県民文化センターチケットセンターのみでの取り扱いとなります。
※当日券が出る場合は500円増しとなります(ただし、U25割を除く)。販売は、当日の午前10時から窓口・電話で行います。
※U25割は、年齢の確認ができる身分証の提示をお願いする場合がございます。
発売日
くれっしぇんど倶楽部会員:10月2日(日)
一般:10月9日(日)
チケット予約・購入
○メディキット県民文化センターチケットセンター
【窓口・電話】0985-28-7766 ※午前10時~午後6時30分/月曜休館(月曜日が祝日の場合は翌平日休館)
【WEB】劇場HPから24時間座席を指定して予約・購入できます。
<その他プレイガイド>
○チケットぴあ(webサイトのみ取扱い)
主催・お問い合わせ先
主催
公益財団法人宮崎県立芸術劇場
公益社団法人全国公立文化施設協会
共催
MRT宮崎放送
企画制作
世田谷パブリックシアター
助成
文化庁 統括団体によるアートキャラバン事業(コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)
『公文協アートキャラバン事業 劇場へ行こう2』参加事業
[お問合せ先]
公益財団法人宮崎県立芸術劇場