あなたのもとへ あなたとともに 音楽アウトリーチ

館長のつぶやき

劇場が行っている「アウトリーチ」ご存じですか?

アウトリーチの意味を調べると、外へ手を伸ばす手を差し伸べる、組織が市場や顧客に近づきコミュニケーションを取る、文化施設による出張サービスなどと書かれています。

劇場が行っている音楽アウトリーチは、保育施設、学校、福祉施設、病院など、県内各地に出かけていって、いっしょに音楽を楽しむ取り組みです。

 

1月14日、アウトリーチを行う日南市のこども園に向かいました。もともと去年8月に予定されていたのですが、震度6弱の地震があったため延期。今回も前日に地震があったので心配したのですが、被害などはなく、予定通り行いました。

到着したのは日南市今町にある「認定こども園 浄念寺学園」。

「こんにちは」「こんにちは」と、子どもたちが次々に挨拶してくれます。園庭では、サッカーをやったり、砂場で遊んだり、鬼ごっこをしたり。敷地いっぱいいっぱいに飛び回るので、ぶつからないか少々心配になりますが、みんな上手に体を交わしながら、にこにこして元気な声を響き渡らせます。

子どもたちが飛び跳ねている間、2階では会場を準備。今回のアーティストはピアニストの藤崎美優さん。園のピアノを弾いて入念に音を確認します。アウトリーチで演奏するアーティストは、県内在住の音楽家で、オーディションで選抜し、2年を1期として活動しています。

 

10時半。ゼロ歳から5歳までの子どもたち60人あまりが2階に上がってきて、演奏会がスタート。曲が始まると、1歳ぐらいの幼い園児も、じっとして聞き入っています。

 

 

演奏だけでなく、音が出る仕組みも模型を使って説明します。ピアノの上前板という板を外し、中が見えるようにした上での演奏では、鍵盤を叩くとハンマーが次々に弦を打つ様子に、興味津々という表情でした。クラッシック曲から、「幸せなら手をたたこう」など子どもたちがよく知っている曲までおよそ30分。

 

 

最後に、園児たちが日頃取り組んでいるマーチングの曲を演奏して、演奏会は終わりました。

 

 

このアウトリーチ、「音楽をより深く、親しみやすく」をテーマに、どんなところで、どんな人たちに演奏するのか、アーティストが下見や打ち合わせを行って先方のリクエストも聞いた上で、プログラムを考えます。

今年度は、北は高千穂から南は串間まで9市町村で、計13回開催です。来年度については、今年3月31日まで開催希望団体を募集中です。希望が多いため、地域バランスや、音楽に触れる機会なども考慮した上で、開催場所を決めることにしています。アウトリーチの活動報告も、劇場のHPに掲載していますので、是非ご覧ください。

 

「あなたのもとへ、あなたとともに」「みんなのもとへ、みんなといっしょに」音楽アウトリーチ!

この記事を書いた人

松坂千尋(まつざか ちひろ)
1957年宮崎県延岡市生まれ。小学校から高校まで、宮崎市、日南市、東郷町(現日向市)在住。
宮崎南高、東大卒。記者としてNHKに入局し、ニュース7NW9編集責任者、社会部長、編成、広報、経営企画、専務理事などをつとめ2023年4月退職。
2024年6月末から宮崎県立芸術劇場の理事長兼館長。

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