圧巻の空間 レディエント・バーミン
7月18日と19日の昼下がり。
劇場の演劇ホールは、圧巻の演劇空間になりました。白井晃さんが演出し、清原果耶さん、井之脇海さん、池津祥子さんの3人が演じる、『レディエント・バーミン』。作者はイギリスのフイリップ・リドリー。“レディエント”は「光り輝く」「喜びに満ちた」、“バーミン”は「害虫」「社会のくず」という意味で、光輝く社会の害虫という感じでしょうか。
他の地域での公演が続いているため、ネタバレにならない範囲で筋書きを説明すると、清原さんと井之脇さん演じる若い夫婦が、仲介人の池津さんから何故か新しい家を提供される。そしてあることを繰り返すたびに、家はどんどん理想の形に変わっていき、光輝く存在になっていく、そして・・・。
休憩なしでおよそ1時間45分。斬新な舞台に加え、観客を巻き込み引き込んでいく演出で、あっという間の時間でしたが、何より圧倒されたのは若い夫婦を演じた二人の力。とにかくとにかく膨大なセリフを、感情も巧みに表現しながら、スピーディに転がしていく姿は圧巻で、劇の終盤で何人もの隣人を演じ分けたのにも驚きました。テレビや映画では、落ち着いた演技も多い清原さんと井之脇さんですが、今回の舞台では別の輝きを見せ、終演後観客からは「こんな演技もできるんだ」「とにかく圧倒された」などの声、声、声。
ここぞという時に現れる池津さんの、巧みで語りかけるストーリーテーラー的な演技も深みを与え、いろいろと考えさせられながら、エンディングを迎えました。
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この劇、白井晃さんの演出で2016年に、吉高由里子さん、高橋一生さん、キムラ緑子さんで上演されています。この夏、東京の世田谷パブリックシアターで30回以上演じられた後、兵庫そして宮崎で上演され、新潟と愛知でも上演されます。前回上演から10年が経ち、違う俳優さんで新たな魅力を解き放つとともに、この10年で変わった現代の社会が、劇の重みを一層増していたように感じました。
当劇場での劇、今年12月3、5、6日には宮崎出身の堺雅人さんなどによる、『スリーゴースト』が上演されます。堺さんが劇に臨むのは17年ぶりとのことで、当劇場では2005年以来です。演じる人たちの息づかいが届き、熱や感情が伝わってくる生の劇。様々な機会で楽しんでいただければと思います。
この記事を書いた人
松坂千尋(まつざか ちひろ)
2024年6月末から宮崎県立芸術劇場の理事長兼館長。
