弾き振り

「弾き振り」。ネットで検索すると、ソリスト(独奏者)が演奏しながら指揮も兼ねるもの、主にピアニストがピアノを弾きながら指揮を兼ねるスタイルなどと出てきます。

 

今年の音楽祭では、5月10日の演奏会〔2〕オーケストラで描く「深き陰影と若き息吹」の前半で、弾き振りが登場。音楽祭初登場のポーランドのピョートル・アンデルシェフスキさんが、ピアノを弾きながら宮崎国際音楽祭管弦楽団を指揮します。曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第24番。モーツァルトのピアノ協奏曲としては珍しい短調の曲で、演奏会のタイトル“深い陰影”、暗さの中に情熱を感じる曲です。

完璧主義者ともいわれているアンデルシェフスキさん。鍵盤に向かい合いながら、どのような表情でどのようにオーケストラを引っ張っていくのでしょうか。

 

演奏会〔2〕の後半は、タイトルで“若き息吹”と表現したメンデルスゾーンの名交響曲「イタリア」。こちらは2年前に指揮の世界三大コンクール、デンマークの「マルコ国際指揮コンクール」で優勝した韓国のサミュエル・スンウォン・リーさんが指揮します。

前半のピアノによる弾き振りと、後半の通常の指揮、両者の共通点や違いに注目するのも楽しいのではないでしょうか。

 

弾き振りは、5月17日の演奏会〔5〕バレエ×オーケストラでも。この演奏会では国内外のバレエ公演で指揮を執る井田勝大さんがタクトを振りますが、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲については、三浦文彰音楽監督の弾き振りです。

 

誰もが一度は耳にしたことがあり三大ヴァイオリン協奏曲と言われる曲に、パトリック・ド・バナさんが、世界初の振り付けをする注目のプログラム。三浦監督は同じステージ上の世界的バレエダンサーに気を配りながら、自分のヴァイオリン、そしてオーケストラをどう調和させていくのでしょうか。

 

弾き振りではありませんが、演奏会〔1〕究極の室内楽、演奏会〔3〕バレエ×室内楽、スペシャルの「かがり火コンサート」や「室内楽の秘密」では、指揮者がいない中、演奏者どうしのいわば阿吽(あうん)の呼吸で進んでいきます。アイコンタクトを含めてどのように音楽を創り上げていくのか、表情や体の動かし方などにも注目です。

 

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この記事を書いた人

松坂千尋(まつざか ちひろ)
1957年宮崎県延岡市生まれ。小学校から高校まで、宮崎市、日南市、東郷町(現日向市)在住。
2024年6月末から宮崎県立芸術劇場の理事長兼館長。

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