プロジェクト「の、まど」のご紹介

けんげきで働く人

企画広報課に勤務して約1年9ヶ月。その間、様々な事業に触れる機会がありましたが、中でも令和3年よりスタートしたプロジェクト「の、まど」という新しい企画について、今回はご紹介したいなと思います。

 プロジェクト「の、まど」の概要についてはこちら

 プロジェクト「の、まど」には、「nomad」と「〜の窓」の2つの意味が掛けられており、劇場を飛び出し、県内各地域にお住まいの方々と交流を重ねながら、舞台芸術に触れていただくための機会づくりを目指しています。私は、このプロジェクト「の、まど」を通じて、初めて椎葉村を訪れることになりました。

 椎葉村は、日本三大秘境の一つに数えられ、今なお焼畑農業や狩猟文化が色濃く残る、緑豊かな美しい村です。秘境の地ということもあり、村内は狭い道も多く、毎回びくびくしながら運転しています。笑 椎葉村は平家の落人伝説でも知られ、椎葉厳島神社や八村杉など数々の史跡が残されています。

 

 椎葉村でのプロジェクトを実施するにあたり、2021年の秋頃から約1年間にわたり椎葉村役場や地域おこし協力隊、地元企業様の協力をいただきながら、アーティストを交えたディスカッションとヒアリングを重ね、プロジェクトの目的を探っていきました。ヒアリングの中で 「子どもたちに、椎葉村についてポジティブな想いを持ってほしい」とのご意見をいただいたことから、ターゲットを椎葉村の子どもたちに絞りました。

 さらに実際に子どもたちとの交流を図るため、教育関係者向けのワークショップ(以下、WS)や椎葉小学校にて全校児童を対象としたプレWSを行いました。最終的に、2022年の夏休み期間を利用して、小学生向けのダンスのWSを3日間、11月に2日間行い1つの映像作品を創り、椎葉村内の神聖な土俵や御神屋(みこうや)でロケを行いました。新型コロナウイルスや台風14号の被害など、延期や中断を余儀なくされることもありましたが、村の方々に支えていただきながら、映像作品を制作することができました。

 この作品は、「椎葉村」の自然や文化をモチーフに、子どもたち自身で動きを考え、アーティストとともに振付をつくっていきました。プロジェクトでクリエイトした作品と、そのプロセスを追ったメイキング映像も制作しましたので、ぜひご覧ください。

『しいば!おどりば!2022』本番映像

『しいば!おどりば!2022』ができるまで

 

 約1年の歳月をかけ、椎葉村を訪れ、ダンスを通じて育まれたプロジェクト「の、まど」 in 椎葉村。劇場、椎葉村教育委員会、椎葉小学校、アーティスト、地元コーディネーターやサポーター、スタッフなど立場を超えた連帯的なつながりによって、作品が生まれる瞬間に立ち会うことができ、なかなか貴重な経験になりました。プロジェクト「の、まど」は今後も県内各地を巡回する予定ですので、また新たな出会いを期待しながら、舞台芸術のもつ想像性や創造性を活かした企画をつくっていけたらと思っています。

この記事を書いた人

S T
バレエダンサーとして舞台出演する傍ら、森山開次氏や全国共同制作オペラカンパニースタッフなどを経て、現職。好きな振付家は、フォーサイス。好きな劇場は、かつて留学したチューリッヒ歌劇場。

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