バレエとのコラボで大団円
音楽祭の最後はバレエと音楽のコラボ。
踊り手はローマ歌劇場バレエ団の芸術監督、エレオノーラ・アバニャートさん。イタリア出身で、パリ・オペラ座バレエ団で最高位ダンサー=エトワールをつとめた世界的ダンサーです。アバニャートさんと組む男性は、イタリアのローマ歌劇場バレエ団のソリスト、ジャコモ・カステッラーナさん。
カザフスタンからは実力者。アスタナ国立オペラ・バレエ劇場で、最高位のプリンシパルダンサーをつとめる、女性のアイゲリウム・ベケタエワさんと、男性のバクティヤール・アダムザンさん。そしてバレエの振付と芸術監督が、元ダンサーで世界的振付師のパトリック・ド・バナさんです。
まず5月14日(木)演奏会〔3〕は都城市で、バレエと室内楽の共演。
古典と現代バレエの、“良いとこ取り”のガラ公演です。音楽は、ヴァイオリンが三浦文彰音楽監督、チェロがユンソンさん、ピアノが田村響さん。各楽器のソロ演奏に加えて、室内楽の演奏でバレエが披露されるプログラムです。
誰もが聞いたことがある「瀕死の白鳥」や、グスタフ・マーラーの交響曲第5番第4楽章に振り付けられた「病める薔薇」など。生演奏をバックに、ダンサーの乱れのない美しく高い技術の踊りが披露され、観客からは「あんなに完璧に何回も回転できるのか」「伴奏が美し過ぎる」などの感想が聞かれました。



5月17日(日)は、県立芸術劇場の演劇ホール。演劇ホールにはオーケストラが入るオーケストラピットもありますが、それでは観客から見えるのはバレエだけ。両者の共演を見せたいという三浦監督の意向で、同じステージで、オーケストラの目の前でダンサーが踊るスリリングな舞台です。
オーケストラ=宮崎国際管弦楽団を指揮したのは、国内外のバレエ公演で指揮を執る井田勝大さん。前半はサン=サーンスの「瀕死の白鳥」や、「ドン・キホーテ」第3幕より、男女2人が踊る最大の見せ場グラン・パ・ド・ドゥをカザフスタンの二人が素晴らしい踊りで魅了しました。
後半は、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。パトリック・ド・バナさんによる、宮崎が世界初振付の注目のプログラムです。踊りはエレオノーラ・アバニャートさんと、ジャコモ・カステッラーナさん。三大ヴァイオリン協奏曲と言われる名曲を、三浦監督の弾き振りでオーケストラが演奏しました。男女二人の優雅でもの悲しい踊りに、パトリック・ド・バナさん自身も加わり、男女の微妙な心のヒダが描かれていきます。



演奏と踊りが織りなす相乗効果、目と耳とに訴えかけてくる何かが、音楽祭の最後を彩りました。
天候にもおおむね恵まれた今年の音楽祭。来ていただいた皆様や、様々な面で支えていただいた方々に感謝するとともに、来年の音楽祭に向けて動き始めます。
撮影:K.Miura
この記事を書いた人
松坂千尋(まつざか ちひろ)
2024年6月末から宮崎県立芸術劇場の理事長兼館長。
